典子のマンドリン教室



今回は、ある中学生からメールで「トレモロの弾き方を教えてください」と来たので、
その返事をそのまま載せてみました。

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こんにちは。はじめまして。伊丹です。
もうすぐ全国大会だそうですね。練習も大変でしょうね。

トレモロはきれいになめらかに弾くのはけっこう難しいですよね。
トレモロを速く弾こうとしたら、どうしても力んで、腕が棒のようになってしまうのではないですか。
右手に力が入ると疲れやすいし、かえってきれいなトレモロはできません。
もし、30分も弾かないうちに軽い疲労を右手に感じるのなら、力が入り過ぎでしょう。

トレモロの仕方は教える人や教則本によって、いろいろなやり方があり、マンドリンの世界では、決して統一されたメソッドがないのが現状です。
だからあなたが(先輩や先生から)教えてもらった方法と違う点があるかもしれませんが、私がやってみて、きれいで楽に(疲れずに)トレモロができる方法を書いてみますので、良かったらやってみて下さい。

まずピックの持ち方ですが、軽く曲げた人差し指の第一関節に垂直にのせ、親指で押さえる方法と、豆をつまむように親指と人差し指でピックをつまむ方法がよく使われますが、私は前の方法で持っています。(後の方法だとある程度しっかりピックを保持しないといけないからです。)前の方法だと、人差し指の上にピックをのせ、親指で軽く支えるだけで弾くことが出来ます。つまり力を入れて握り込む必要がないのです。
その持ち方で、ピックはダウンで弦に当たるとき自然に固定されます。
一度その持ち方で4弦からジャランと全弦をダウンしてみて下さい。
アップの時は下から持ち上げる力でやはり親指に力を入れなくてもピックはずれません。
親指はピックをずれないように止めるぐらいのつもりで、決して力を込めて持たないで
下さい。そうすると、硬くない、やわらかい音が生まれてきます。

弦にピックがあたる位置は、最初のうちはサウンドホールの中央より少しだけ下がいいでしょう。(ある程度のレベルになると、いろいろな位置で弾くことにより、多彩な音色や表現ができます。)
今は弾いて試して、最も響きの良い場所(ツボのようなところ)をみつけてそこにピックをあててみて下さい。
ピックは弦に垂直にあて、弾いていて、ずれてきたらいったん持ち直して下さい。
ずれたまま、続けないこと。
小指はかるくピックガードにあててもいいですね。
でも決して小指を支えにしてはいけません。

トレモロは、いきなりはできません。まず、ゆっくり正確なピッキングからもう一度やり直してみて下さい。急がば回れ、です。
メトロノームを使い、1小節16分音符4つずつ4拍(テンポ40〜50)の開放弦のピッキングから。
ピッキングの時、振り幅を十分取って下さい。弦の上下をチョロチョロという弾き方はだめです。
上の弦のある高さから振り下ろし、下の弦に確実にあてて止めて下さい。
ダウンの時に、腕や手首の力で振るのでなく、力を入れずにストンと落として下さい。
落ちて下の弦にあたった勢い(反動)で、アップするのです。
だからアップは力で押し上げてはいけません。
あくまでダウンのはねかえりです。
(1弦の場合は、宙で止めなければいけませんから、まず4弦からやってみて下さい。)
弦と弦の幅を十分使って、上下に大きなストロークをこころがけて下さい。
音がブチブチ切れないように、大きく響く音をだせるよう、十分に手首を上下させて下さい。
平行奏法の場合、手首の上下運動に伴って、腕も少しは動くことは、自然だと思います。
ただ、ひじから腕を大きく振ることはしないで下さい。
ダウンとアップは聞いていて均等な音がでるように、力を調節して下さい。
アップの時、対の上の方の弦が鳴っていなかったり、2本がバラバラッと鳴っていた
りすることが
ありますので、同時にポンとなるよう、気をつけて下さい。

で、ゆっくりから始めて、きれいに均等にピッキングが長く続くようになってから
(耳をすませて自分の音を聞きながら弾いて下さい。)、初めてテンポを上げます。
少しづつテンポを上げ、最終的にトレモロらしく聞こえるようになるまで(110〜
120)、上げていきます。
ピッキングが乱れてきたら、均等に聞こえる様になるまでメトロノームのテンポを上げないように。
とにかくむやみに速く振ろうとするのは、避けて下さい。
それほど手を速くうごかさなくても、ストロークはゆっくりでも、響きできれいなトレモロに聞こえます。

1〜2週間はかけるつもりで、辛抱して最初(ピッキング)からやってみて下さい。
きっと、見違えるようにきれいなトレモロができるようになると思いますよ。

他にもいろいろ書きたいことがあるけど、とりあえずこの位にしておきます。
また機会があれば、また続きの話ができるといいですね。
では、きれいなトレモロができるようになりますよう、お祈りしています。
頑張って下さいね。

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