伊丹典子コンサート用楽器
伊丹典子は、コンサートにおいては主に以下の4つの楽器を使用しています。

マンドリン(Mandolin):ヴァイオリンと同じ調弦で、開放弦は低音からG,D,A,Eです。
マンドラ (Mandla):マンドリンより1オクターブ低い音が出ます。(ヴァイオリン属で言えばヴィオラに相当しますが、調弦は異なります。)

幻の名器「ニコラ・カラーチェ」

マンドリン:
ニコラ・カラーチェ(Nicola Calace)1903年製 イタリア
(上の画像をクリックすると正面画像が出ます。)

ニコラ・カラーチェについては、下の項目をご覧ください。


 



マンドリン:ルシアン・ジェラ(Lucien Geras) 1930年製 フランス
表面版が2重構造になっており、通常のマンドリンより音質音量が豊かです。



ジョバンニ・デ・メッリオ
マンドリン:
ジョヴァンニ・デ・メッリオ(Giovanni de Meglio) 製作年不明 イタリア



ルシアン・ジェラ
マンドラ:
ルシアン・ジェラ(Lucien Geras) 1933年製 フランス
表面版が2重構造になっており、通常のマンドラより音質音量が豊かです。



ニコラ・カラーチェの話

「ニコラ・カラーチェ」レーベル
伊丹典子 後姿

名器を次々と生み出しているイタリアの「カラーチェマンドリン工房」の3代目ニコラ(1859−1924)の手によって1903年に作製されたものです。
ニコラは1901年(1898年説あり)にアメリカに渡ったとされるのですが、それ以後にニコラがナポリで作製した銘になっているという謎の楽器です。

これにつきまして、とある方とメールのやり取りがありましたので、
ご本人のご了解の下、それをご紹介させていただきます。(抜粋&一部伏字)
伊丹さんへ(その1) 伊丹より(re:その1)
伊丹さんへ(その2) 伊丹より(re:その2)
伊丹さんへ(その3) 伊丹より(re:その3)
伊丹さんへ(その4)
「フレット楽器オザキ」の宮崎さんの話(1997年当時)
HP管理人へのメールより抜粋。
掲載をご了承していただいた宮崎さんには心よりの感謝を申し上げます。

宮崎さんの話その1
ところで、ニコラ・カラーチェ渡米の件ですが、おっしゃるとおり、
1901年以降にも、「ニコラ」ラベルでナポリの住所のある楽器が
存在するのです。ほかにも、なんと1908年の楽器があるのです。
従来1901年というのが定説で、他にも1898年説もありますが、これらは間違
いなのでしょうね。
で、本当はどうなのか、ということですが、これは謎です。
現在のカラーチェさんに聞いても「わからない」とのことです。
ニコラさんは、作った楽器や曲からみても、弟ラファエレと比べて
繊細優美、悪く言えば女性的で、性格もそのとおりと想像され、
豪放快活な弟との関係を保つのは難しかったのでしょうか?

宮崎さんの話その2
ニコラに関しては本当にわからないことが多いのです。
前にも書きましたが、現在のカラーチェ家に聞いても明確な答えが得られません。
イタリアのほうでも異母兄弟説とか、あるいは双子説なんてのもあるようですが。
ただ、アメリカへ行ってから、ニコラ・トゥルトゥッロと言う名前で活動しており
表はマンドリン、裏はウクレレ(どちらが表か知りませんが)なんていう変な
楽器で特許を取ったりした様です。



ニコラ・カラーチェ ”伊丹典子と行くイタリア・マンドリンの旅”
(2006.9.27〜10.4)において・・・


ラファエレ・カラーチェ氏と伊丹典子

ラファエレ・カラーチェ氏(当代)と伊丹典子
イタリア

2006年9月28日、私たちはナポリの歴史的建物の並ぶ古い街中にあるカラーチェ工房を訪ねました。
使い込んだ道具や作業台の並ぶ工房では、カラーチェさんはじめ6〜7人の職人さんが私たちを歓迎して下さいました。
普段見ることのない楽器の原型に、職人さんがコツコツと作業をしている様子は大変興味深いものです。
生徒たちはイタリア人の通訳を通して、あるいは自らの英語であちこちで熱心に質問をしていました。
カラーチェさんに私の楽器ニコラ・カラーチェの単独のラベルの画像を見せた所、それは間違いなくニコラ自身のサインで大変珍しいものだとおっしゃるのです。
カラーチェさんによると、通説では1901年にアメリカに渡ったとされているニコラは、私の楽器の製作年の1903年に渡米したそうです。
私の楽器は、弟のラファエーレと喧嘩して工房を分かち、渡米までに作った数少ない楽器だということ。
これで長年このサイトで問題にして来たことの謎が解けたことになる!!
カラーチェさんは自分のコレクションに加えたいのでその画像を欲しいと言われました。
私はやはりこの楽器は珍しいものだったんだと感激しながら写真を差し上げました。
今回はもって来れなかったニコラだけど、次の機会にはきっと実物をカラーチェさんに見ていただきたいと思いました。

カラーチェさんの自信の作、世界に一つと言う非売品のクラシコも見せていただきました。
女神の顔を包むように大きな2つの輪の飾りがあるヘッド。
サウンドホールの下のらせん状の貝を埋め込んだ飾り模様が美しい!
弾かせていただくと張りと艶のあるいい音色でした。
カラーチェさんに差し出されるままに楽器を弾くと、カラーチェさんはじめ職人さんたちからも賛辞と大きな拍手をいただきました。
演奏が終わるとすぐカラーチェさんが奥の部屋から一冊の本を持って来られ、それにサインして贈呈して下さいました。
それはマンドリンとカラーチェ工房の歴史をまとめたもので、2005年カラーチェ工房で作られた本でした。
私がいただいたものは、ラファエーレ・カラーチェ1世の演奏を含むカラーチェ作曲の曲のCD付きの特別限定版で、日本ではまだほとんど誰も持っていない貴重なものだそうです。
親切丁寧に説明、実演をして下さった職人さんたち、優しい暖かい笑顔のカラーチェさんと楽しいひと時を過ごせ、一同感激、感嘆の見学でした。
(伊丹典子手記)



伊丹典子のマンドリンの世界
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